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器楽曲「バラード」の創始者はショパンではなかった!?

 ショパンが器楽曲のタイトルに「バラード」という語を初めて用いたということはよく知られていると思います。しかし、「バラード」というタイトルを器楽曲に用いたのは、実はショパンが最初ではないという可能性が浮上しました。


 疑惑の曲は、アンリ・ベルティーニの《休息, 24の小さなメロディー Le Repos, 24 petites Melodies Op.101》(参考楽譜)の第7曲(参考動画)で、「Ballade」というタイトルが付けられています。この曲集は現在でも『ベルティーニ:24の小品集』として全音から出版されており容易に入手可能なものですが、その初版年を気にする人は恐らく全然いなかったことでしょう。フランスにおける出版物情報が記載された『Bibliographie de la France』の1836年1月9日号にこの曲集の名前が記されています。ショパンの《バラード Op.23》は、1836年7月に出版(『Bibliographie de la France』での記載は見つけられませんでした)なので、半年ほどベルティーニの作品の方が早いということになります。

 もっとも、ショパンのOp.23は、1831年から作曲が着手されていたらしいですが、「バラード」というタイトルを付けようと発想されたがいつなのかはわかりません。たとえ、そのような発想に至ったのが、ベルティーニのOp.101の出版より後だったとしても、ベルティーニの影響を受けたとまでは考えにくいでしょう。ベルティーニのOp.101はあくまでも初級者向けの小品集なので、ショパンがわざわざチェックしていた可能性は低いと思いますし、曲想や規模も大きく異なります。

 器楽曲としての「バラード」を最初に書いたのがベルティーニだとしても、ショパンのバラードの音楽史上の意義が揺らぎはしないと思います。しかし、もし、ショパンがバラードを書かなかったとしても、器楽曲における「バラード」というジャンルを確立させる別の作曲家がすぐに現れていたかもしれません。

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