Ferdinand Beyer (1806-1863)

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▲Ferdinand Beyerの肖像 The New York Public Library Digital Collections より 加工・転載

今回紹介する作曲家は、ピアノを習ったことがある方にはお馴染みのフェルディナント・バイエル(Ferdinand Beyer, 1806[1]-1863)です。今年2013年は、彼の没後150周年になります。

バイエルは、ワーグナーの師でもあるヴァインリッヒ(Christian Theodor Weinlig, 1780-1842)に作曲を師事し、1837年にマインツへ行き、ピアノ教師および通俗的・実用的なピアノ小品の作曲家として成功を収めました。今日では、「ピアノ奏法入門 Op.101」(所謂バイエル教則本)によって名が知られています。

バイエルに関しては、奈良教育大学の安田寛教授が著した『バイエルの謎』(音楽之友社)という本がありますが、ピアノを弾く人にとって身近でありながら謎に包まれたバイエルという人物について知ることが出来るほか、音楽史の資料研究の舞台裏が垣間見れる面白いドキュメンタリーとなっています。なお、この本が書かれたきっかけとなった論文『バイエル教則本初版本の研究』がこちらで読むことが出来ます。

[1]従来バイエルの生年は1803年とされてきたが、安田寛氏の調査により戸籍や洗礼記録が発見され、正しい生年が1806年であることが判明した(安田寛『バイエルの謎』を参照)。



若いピアニストのレパートリー, 歌劇の動機による教育的小幻想曲 Répertoire des jeunes Pianistes, Petites Fantaisies instructives sur des motifs d'opéra Op.36 より No.4 清教徒 (ベッリーニ) I Puritani (Bellini)、No.31 リゴレット (ヴェルディ) Rigoletto (Verdi)

「若いピアニストのレパートリー」は、歌劇の旋律に基づいた幻想曲を収めた作品集です。フェルディナント・バイエルの没後もヴィクトル・バイエル(フェルディナントの次男Adolph Felix Viktor Beyer(1840-1903)か?)によって曲が追加され、最終的には百数十曲に及ぶ長大なシリーズとなりました。No.31「リゴレット」の原曲を書いたヴェルディは今年生誕200周年を迎えますね。


3つのポルカ 3 Polkas Op.51

No.2の「アルペンホルンのポルカ」では、プロッホ(Heinrich Proch, 1809-1878)の歌曲「アルペンホルン Op.18」(YouTube参考動画)の旋律が、No.3「悪魔のポルカ」ではマイヤーベーア(Giacomo Meyerbeer, 1791-1864)の歌劇「悪魔のロベール」の地獄のワルツ(YouTube参考動画)の旋律が引用されています。No.1については、バイエルの完全オリジナルなのか、何らかの引用があるのかわかりませんでした。


初舞台, 通俗的な旋律によるロンドや変奏曲からなる24の教育的小レクリエーション Le premier Début, 24 petites Récréations instractives sur des Airs populaires, en Rondeaux et Variations Op.83 より No.4 ロッシーニの歌劇「ギヨーム・テル」の動機によるロンド Rondeau sur un motif de l'opéra Guillaume Tell de Rossini

ロッシーニの「ギヨーム・テル(ウィリアム・テル)」の有名な行進曲の編曲です。


祖国の歌(愛国歌) Vaterlands-Lieder (Chant Patriotiques) より No.1 ラ・マルセイエーズ La Marseillaise、No.15 デンマーク民謡(デンマークの通俗的な賛歌) Daenisches Volkslied (Hymne Populaire Danoise)、No.37 日本の舟歌(日本の通俗的なメロディー) Japanesisches Schifferlied (Mélodie populaire du Japon)、No.70 トランスヴァール(C.F. ファン・レースの国歌) Transvaal (Het Volkslied von C.F. van Rees)

世界各地の愛唱歌の編曲集です。西洋諸国のみならず、アジアやアフリカ、南米に至る幅広い国々をカバーしているのが驚きです。日本もあります!
この曲集も、フェルディナント・バイエルの没後、ヴィクトル・バイエルによって追加された曲があり、今回紹介する曲のうちのひとつNo.70「トランスヴァール(C.F. ファン・レースの国歌)」も、ヴィクトル・バイエルによるものです。なお、トランスヴァールは、現在の南アフリカ共和国北部にかつて存在した共和国です(Wikipedia)。



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