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現在、クラーマーの練習曲以外の作品では、ピアノ協奏曲やピアノソナタ等の録音がいくらかリリースされていますが、こういった大規模なジャンルの作品の殆どは1820年代までに書かれたものです。長寿に恵まれたクラーマーは、19世紀の後半まで生きましたが、1830年代以降の作品に関しては、録音がより僅少で、ヴェールに包まれた状態だといえます。今回は、そういった晩年の作品にスポットを当ててMIDIを作成しました。
3つの夜想曲 Trois Nocturnes Op.94 No.3 感傷的 La sentimentale
クラーマーの弟弟子にあたるジョン・フィールドが創始した「夜想曲(Nocturne)」は、ロマン派のピアノ音楽における主要なジャンルとなりました。この新しい世代の様式を老クラーマーも自らの創作に取り入れました。しかし、今回紹介するOp.94-3は、叙情的な旋律を分散和音で伴奏するという典型的な夜想曲のスタイルとはかなりかけ離れたものとなっています。
ト短調の序奏に後に、ト長調-ト短調-ト長調の三部形式の主部が続く構成で、序奏部は協奏曲のトゥッティを思わせる重厚な曲想、主部は「感傷的」という表題の割には喜ばしい雰囲気の曲想となっています。8分音符の動きがポリフォニックに展開する点は、『42の練習曲 第2巻』の33番(i.e.『84の練習曲』の75番、『クラーマー=ビューロー』には収録されていない曲です:昔に作成したMIDIがあったので添付しておきます)に通じるものがあります。ロマン派音楽の新しい様式を取り入れながらも、自身の様式を堅持し続けるクラーマーの姿が垣間見られる作品といえるかもしれません。
出版は、1841年頃だと思われます。
狩り, ロンド Tha Chase, Rondo Op.114
この作品は、ロンドンの1851年にLeader & Cock社から出版されたようですから、クラーマーが80歳を迎えた頃のものということになります。19世紀半ばの作品とは思えないほど古典的な曲想です。
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