Charles Delioux (1825-1915)

シャルル・ドリュー(Jean-Charles Delioux de Savignac, 1825-1915)は、フランスのピアニスト・作曲家です。生年は諸説あり、フェティス等は1830年、マルモンテルは1828年としていますが、Constant Pierreの『Le Conservatoire National de musique et de déclamation』やIMSLP等のサイトが採用している1825年に従いました。

ブルターニュ地方の港湾都市ロリアンで生まれたドリューは、海軍主計官であり熱心な音楽愛好家でもあった父から音楽の手ほどきを受け、幼くして才能を現しました。

1837年頃にジメルマンの家で彼の演奏を初めて聴いたマルモンテルは次のように回想しています。
「単純で簡素な様式、非の打ちどころのない明晰な演奏、音の響きはペダルや力の効果の濫用から解き放たれていた。」[1]
1839年には、国王ルイ=フィリップの御前で演奏をし、その後、英国女王の宮廷でも喝采を受けたといいます。

しかし、演奏家としての放浪生活よりも高度な音楽教育を受けることを望んだ彼は、パリでバルブロー(Auguste Barbereau, 1799-1879)に和声法を師事し、1845年には同地の音楽院に入学してアレヴィのクラスで対位法とフーガを学びました。同年には対位法とフーガの第一次席賞を獲得しており、1847年にはカンタータ《天使とトビ L'Ange et Tobie》を作曲しローマ賞に応募していますが、残念ながら受賞は出来なかったようです。

1849年に音楽院を卒業すると、ドリューは教育者としての道を歩みました。その傍ら、オペラ=コミック《イヴォンヌとロイク Yvonne et Loïc》(1854)を作曲し成功を収めましたが、自らの野心に対して謙虚であった彼は、その後、オペラ作曲家への道を進むことはなく、教育者としての活動やピアノ小品の作曲に身を捧げました。

ドリューは、作品番号にして100を超えるピアノ曲を残しました。《ピアノのための完全なる練習教程 Cours complet d'exercices pour le piano Op.86》は、パリ音楽院の教材にも採用されたようです。ピアノ曲以外には、歌曲も書いています。

マルモンテルによれば、ドリューは、大衆と専門家の両方から同時に好評を得ることが出来た稀代の作曲家だったようです。また、マルモンテルは彼の作品について「着想の率直さ、提示部の明確さ、優雅な旋律線、和声の気品において抜きん出ている」[2]と評価しています。

[1] A. Marmontel 『Virtuoses contemporains』 p.228
[2] 同 p.231




鍛冶屋, サロン用練習曲第3番 Le Forgeron, 3e Étude de Salon Op.26

表題の通り、アクセントを付けて鋭く鳴らされる音で、鍛冶屋がハンマーを打ち付ける様子が描写されています。華麗ですが、難し過ぎることはなく、気持ちよく演奏できる曲です(とはいえ納得のいく録音ができるまでには、かなりの演奏回数を要しました)。ただ、終盤は跳躍が激しいので、ある程度暗譜をしないと厳しいかもしれません。

この曲は、パリの楽譜出版業者Gustave Flaxland(1821-1895)に献呈されていますが、Flaxland社ではなくHeu社から出版されています。



フォルテの箇所が多いこともあり、いつも以上に音割れが酷いですが、ご容赦ください(・∀・;)


今回録音したのは一曲だけなので、それを通じてドリューと言う作曲家の像を十分に把握できたとは言い難いところです。しかし、マルモンテルの評価を読んでみると、ドリューの他の作品についてもっと詳しく見てみたいと思えてきます。幸い、フランス国立図書館の電子版Gallicaでは、ドリューの作品が多数閲覧できます(今回録音した《鍛冶屋 Op.26》もここで入手しました)。特に、ピアノ独奏のための交響詩である《イタリアの思い出 Op.71》と《騎士の帰還 Op.80》が気になります(ただ、弾くにしても、MIDIを打ち込むにしても大変そう)。


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